秋分の日は祝日で、毎年羽根を伸ばす方も多いのではないでしょうか。
春分の日・秋分の日は「お彼岸の中日」です。お彼岸という名前の祝日ではないので、ご先祖様供養の日だということは忘れられがちです。
2015年はシルバーウィーク。義実家へ伺ったらお彼岸だった、などの恥をかかないよう学んでおきましょう。
そもそもお彼岸ってなに?
秋分の日は、元々は宮中行事での先祖供養で、秋季皇霊祭という名でした。昭和22年に呼び名が秋分の日に変更されます。(宮中行事は現在も続いております)
一般の方もこの日の前後3日、あわせて7日間をお彼岸とし、ご先祖様を供養します。2015年の秋は9月20日が彼岸入り、26日が彼岸明けとなり、秋分の日は「中日」と呼ばれます。
秋分の日は暦で毎年ずれるため、おおよそ同じ時期ですが日程は定まっていません。中日以外の6日間は、悟りを開くための6つの徳目を修める日とされています。
お盆はご先祖様が帰ってくるとされお供えなどをしますが、お彼岸に供養する理由は何でしょう?常に先祖供養は考えているべきものですが、ご先祖様との距離が近くなる時には仏事として故人をしのびます。
太陽は東から上がり西に落ち、これが真東から真西だと昼夜の長さがほぼ同じになります。年2回あるこの日が、春分・秋分となるわけです。仏教にて、魂は悟りを開き、西方の遠くにある「極楽浄土」へ行きます。
「彼岸」とは仏教用語で「向こう岸」という意味があります。逆に現生での私たちは、東の「此岸(しがん)」に居るとされています。
春分・秋分は「極楽浄土と現生がもっとも通じやすくなる日」という思想で、先祖供養の日となりました。(東西覚えにくいようでしたら「西遊記」を思い出すと良いでしょう。西に西方浄土があるのです。)
しかし仏教国は他にもありますが、お彼岸は日本の行事です。神道の「日願(ひがん)」でもあるため、神仏両方を受け入れる日本で浸透していきました。
他にも春分には種をまき、秋分には収穫をするため、農業でも古くから大切な日とされてきたのです。この期間、お寺では「彼岸会(ひがんえ)」という法要が開かれ、読経や説法が行われます。
檀家個々に行われるものではなく、案内のあった日に任意でお寺に赴(おもむ)きます。家にお坊様を呼ぶことは無く、お寺で読経をいただき、個人はお墓参りや、仏壇にお供えをします。
なぜ「おはぎ」を供えるの?
お彼岸のお供えは、仏花や菓子・団子など通常と同じものを供えます。市販の菓子などは現代だから手に入りやすいもので、大昔、江戸時代初期などは「甘いものは高級品」でした。
お彼岸に限らず「ぼたもち」「おはぎ」は大切な人へのふるまい料理だったのです。赤い小豆は魔除け・邪気払いと信じられていて、先祖供養のお彼岸にお供えします。この2つがお彼岸にお供えする理由になったのですね。
「棚からぼたもち」という言葉があるように、高級品だった「ぼたもち」ですが、現代はほぼ「おはぎ」と同じにとらえられています。正式には「こしあん」だとぼたもち、「粒あん」だとおはぎ、という呼び名になるようです。
きな粉やゴマをまぶしたものもあり、そちらは「おはぎ」と呼ばれることが多いようです。またぼたもちは「牡丹餅」、おはぎは「御萩」とされ、それぞれの時期に咲く花になぞらえられています。
現代では地域差もあり、「ぼたもち」でも「おはぎ」でも呼び方は通称であって決まりではありません。簡単にまとめると、ぼたもち=牡丹餅・固い皮を取ったこしあん・丸くておおきめ・昔の高級品。
おはぎ=御萩・豆の収穫時期なので粒あん・俵型で小ぶり・現在市販品の多くはこちらの名前ということになります。
形・あんこ・時期などで違うわけですが、今や年中甘いものが食べられるわけですから、好みの物を作って好きな時に食べてかまいません。
もち米やうるち米など、通常では使わない米を使用するため、自宅で作ると余るという方も多いでしょう。子どものころ食事におはぎが出たという方もいるのではないでしょうか。
お供えとしては市販品で充分なので、無理に手作りでがんばる必要はありません。
私の周囲では、小ぶりのおはぎを数個かわいらしくパックにし、故人の友人や、ご近所のご年配の方に配るという知人も居ましたよ。義実家に行くと、おはぎ作りを手伝わされることもあるかもしれません。
丸める工程では難しいことはありません。伝統や由来があるので形はその家に合わせたほうが良いですね。小豆を初めて煮るのならば、予習が必要かもしれません。お義母さんが煮ていたとしても、手伝いを申し出て良いでしょう。
あんこをつやつやと仕上げるためには、最後の練りが大切です。これが非常に力も根気も必要な工程なのです。ここで手伝いを申し出ることができたら「わかってる」お嫁さんですよね。
春彼岸は保管された小豆ですが、秋は収穫シーズンです。旬の豆ですから、煮ることにチャレンジしてみても良いかもしれませんよ。お彼岸に対して、御仏前などは必要ありません。
帰省などで伺(うかが)うのならば、手土産以外に和菓子などを持っていくと良いでしょう。
お寺の彼岸会は、時間が決まっています。案内を読んで都合の良い時間に参加しましょう。お寺からの案内は読むと、豆知識など載っていたり、趣向を凝らしたものもあります。
仏事シーズン以外にも、落語会など開き、檀家と楽しもうとされるお寺もあります。一度参加したことがありますが、お寺という場所で、笑って良く足も崩して良い落語会は面白いものでしたよ。
法要ほどかたくるしいものではありませんが、故人へ言葉が届く日です。学校では由来までは教わりませんから、お子さんにも説明できると良いですよね。
日ごろの疲れを癒すことも大切ですし、今年は連休最終日です。ゆったり過ごされてかまいませんが、先祖供養の日であることは忘れずにいたいものですね。