季節行事で、慣習的に食べるものってありますよね。縁起ものは理由もあり、日本人として理解できるものも多いです。
土用の丑の日、というものは、現在かなり浸透しています。でも実際、なんなの?と思う方もいますよね。何かの日なのはわかるけど、なんでうなぎなの?(正しく何の日かは知らないし、うなぎは高いよね)
そういうわけで、ちょっと土用の丑の日について紹介します。
土用の丑の日の由来は?
分解して解説します。「土用」とは、中国の陰陽五行説が由来しています。日本では、陰暦の立秋前の18日間が、夏の土用とされます。(もちろん春夏秋冬、それぞれ18日間の土用があるわけです。 最近は秋土用などを売り出す会社もありますね)
「丑の日」とは、十二支を暦(こよみ)に割り振ったもの。月暦といいます。当然12日周期です。
そうは言われても、月暦なんていきなり持ちだされても?と思われるかもしれませんが日本にはもう1つ、注目されている月暦の日があります。
戌の日です。主婦の方ならお気づきかもしれませんが、安産祈願を行う日。安産な動物の犬にあやかっているのです。
「戌の日の由来は安産でわかってる、丑の日にも理由はあるんでしょう?」
当然そう思われますよね。一番暑い日と混同(こんどう)される方もいますが、それは「大暑」といって、別の日です。
諸説ありますが、一番有名なものがこちら。
江戸時代、うなぎが売れず困っていたうなぎ屋がいた。そこに、思いつきの天才といわれる「平賀源内」という男がいた。どうしたらうなぎが売れるか?相談したところ・・・「本日丑の日」という紙を店の前に貼りだすことを提案され、大繁盛しました。
うなぎの旬は本来冬のため、夏には売れなかったのですね。当時「戌の日が安産」とされていたように「丑の日に『う』のつくものを食べる」という風習がありました。これは年間ではなく夏のみで、「そうすると暑気負けしない」という理由です。
暑い日に、「丑の日」を気付かせ、そこがうなぎ屋なら入りますね。これがもしかして「梅干し屋」だったら梅干しになっていたかもしれません。相談したのがうなぎ屋だっただけのことです。
平賀源内という男は、時代が違えば、もっとすごいことを起こしていたかもしれません。蘭学者であったので、頭が柔軟で、西洋のものも受け入れていました。
江戸時代という時代背景の中で、エレキテルという電気を発明したのも有名です。この男、現代に生きていたなら何を発明したのでしょうね?
夏、うなぎ屋に相談され「お前、『う』なぎ屋じゃないか!」と気付いて、「丑の日だよ、ほら、ウチ、『う』だよ」と宣伝させる。ここまでの発想力は、現代の企業も欲しいものですよね。
それだけ?じゃあ食べなくてもいい。と思いますか?
・・・
もう少々お話にお付き合いください。
今年2016年の土用の丑の日はいつ?
2016年は7月19日から夏の土用が始まります。土用が18日間で、丑の日の月暦が12日周期ですから、夏の土用に丑の日が2回くる年も当然ありますね。
去年(2015年)は2回ありましたが、今年(2016年)は1回で、『7月30日』です。だいたい毎年8月頭と覚えている方もいるので、8月5日をメインに考えるようになると思います。
ただ例年までの2回あった年パターンですと、1回目の丑の日に大々的に売り出し、2回目は「前回食べ逃した人!間に合います!」と押すようです。もちろん2回とも食べて良いですし、当然年中食べて良いのです。
うなぎ以外でもいいの?
「暑気負けしない」という理由で「う」を選んでいたわけですから、梅干し、うどん、瓜などでも良いのです。うなぎより、そういったものを食べる地域もあります。
ちなみに「うなぎと梅干しは食べ合わせが悪い」ということも聞きますが、医学的根拠はなく、悪影響はありません。
また、あまりにも世間で「うなぎうなぎ」となるため、料理上手な節約主婦は、高野豆腐や水きりした豆腐などで「かば焼き風」の料理を作ることも増えてきました。
家族分のうなぎを用意するのは、かなりお財布に厳しいですものね。レシピを見る限り、見た目すら「うなぎ」に似せようとされているので、お母さんたちの努力には頭が下がります。
うなぎが一人勝ちしたような状態ですが、平賀源内のためだけではありません。うなぎは滋養強壮とされ、かなり栄養が豊富なのです。
●良質なたんぱく質が豊富。
●ビタミンAがとにかく豊富。
全身の粘膜を守り、病原体からガードしてくれます。美肌にも良いビタミンです。
●ビタミンB1、B2、D、Eも入ってる。
ビタミンB1は代謝を助け、ビタミンEは血行促進など夏の冷えに効果あり。
●体に良い脂肪分が多い。
中性脂肪やコレステロールを減らす効果の不飽和脂肪酸の油が多く、DHAなどのできるだけ取りたいとされる成分も含まれます。
●コラーゲン・カルシウム・鉄分も入っています。
中央の骨は除くものの、大部分を食べてしまう「うなぎ」です。 小骨も皮も美味しいところ。もちろんそこにも栄養があるのです。
うなぎの肝って?
肝吸いなどで出されるもの。こちらは貴重品とされ、佃煮などは高価です。ビタミンAやEが入っていますが、やはりその苦みが好まれるようです。
山椒(さんしょう)って?
この時期は湿気などで、胃が弱り、食欲不振や消化不良になりがち。体に良いとされるうなぎでも、やはり油が多く胃に重たい。山椒は消化促進や、胃腸をあたためる効果があるので、合わされると解決するのです。もちろんあの風味もピッタリですよね。
あとがき
年に1度のごちそうにすらなる、高価な「うなぎ」です。どうせなら特上を食べたいところですが、きちんとしたお店なら並でも充分美味です。買ってきたうなぎも、どうせなら美味しく食べたいもの。
レンジで温める際、お酒をふりかけましょう。すごくふっくらしますよ!