贈り物を手渡しする時、きちんと正面を向けて渡すものですよね。
のし紙がついていたなら上下はわかりますが、菓子折りなど包装のみの時はどうですか?
贈答品売り場のスタッフは正しい知識を持って包装しています。水引の形にも意味があります。理由がわかれば難しくありません。覚えるポイントをお教えしますね。
贈答品の包装には意味がある
サービスカウンターなどで働く場合、包装ができるかどうか聞かれることがあります。たいていの女性はラッピングの経験はありますから、ハイと答えるでしょう。
けれど雑貨屋さんなどのキレイで可愛らしいラッピングではありません。贈答品包装の知識はあるかどうか聞かれているんですよ。
包装には、斜めにくるくると進んでいく包み方と『キャラメル』のような包み方があります。正式には斜め包みで、キャラメルはどうしても包めない場合のみで簡易です。
慶事(よろこびごと)と弔事(不祝儀ごと)で違うのは、斜めに包んでいく方向です。包み終わった物の上1辺が袋状になっていることに気づいたことはありますか?これが慶事では上、弔事では下になります。
簡単な覚え方
お祝は上、『喜びのポケット』です。たくさん喜びが増えますように。不祝儀は下『悲しみが早く流れていくように』です。
慶事には紙を2枚重ね、弔事は1枚とされていますが、重ねるとスッキリしないことから慶事にも1枚という会社もあります。(弔事は絶対に2枚にはなりません)
包装紙 → 内のし → 包装紙、の順で2枚とすることもあります。テープを貼る回数もなるべく減らすことです。最初と最後のみ貼る方は上級者ですよ。
不慣れだとポケットの位置を間違え、何度も包み直すことがあります。贈答スタッフならばお客様を待たせないよう、しっかり覚えておきましょう。スタートの方向さえ間違わなければ大丈夫です。
会社によっては包装紙の模様にも上下がある場合(ロゴなど)もあるのでより注意します。包み始める前に慶事か弔事か聞きます。特に夏はお中元とお盆のお供えが重なるので、両方頼まれることもありますし。
『内のし』という方もいますので、焦らず最後までうかがいましょう。簡易包装で良いというお客様もいます。包装紙を使わずのし紙のみかけます。会社によっては『簡易包装しました』というカードを一緒に入れる場合もあります。
ただし「簡単でいいよ」と言われても、キャラメル包みでも良いという意味だったり色々です。直接のしを掛けても良いかどうかを聞きましょう。
会社名がわかるような包装紙はお客様に渡さないことになっています。(品質のおかしな商品を包まれクレームになることもあるのです)
包装への品質管理という点でしっかりしているお店は、『包装はわが社が担当しました、不備がありましたら……』のようなカードも用意され、中に入れます。
会社が厳しくなくてもお客様の目がしっかり見ています。間違った包装はしたくないですね。
水引はきちんと理解しよう!
一般の方も、御祝儀袋などを購入する場合に気にしたいのが『水引の意味』です。
弔事は『結びきり』とされます。2本または4本の水引がしっかり結ばれて、先が上を向いている状態です。これは『二度とはないように』の意味がある結び方なのです。
『紅白で結びきり』の場合は結婚祝になります。2度を願われては困りますね。慶事は3本または5本になります。結婚式では複雑な『あわじ結び』というものもありますが、こちらも上を向いて切れています。
お見舞いと、お返しの快気祝いにも紅白の結びきりを使います。『2度あってほしくないことには結びきり』と覚えましょう。
出産祝や入学祝など『何度あっても嬉しいことに蝶結び』を使います。『両輪結び』というものもありますが、どちらも先が下を向いています。堅苦しくはないゲームの景品などにのしをかける場合も蝶結びです。
のしは、たいてい『外のし』です。内のしは、控え目にしたい内祝いの時や、宅配便などで傷がつきかねない場合につかいます。
手渡しする場合で迷ったら、外のしでかまいません。表書きは間違わないようにしましょう。
のし紙の表書きは、プリンターで毛筆印刷することが多いですが、書道が上手いスタッフが手書きすることもあります。達筆なお客様は自分で書くという場合もあるため、きちんとした筆ペンを用意しておきます。
お客様によっては祝儀袋の文字を書いてほしいという方もいますが、プリンターを通らないものが多いため、字の上手いスタッフがいなければ断ってもかまわないでしょう。(最近はプリンター対応となっている品もあります)
のし紙と言ってきましたが、こちらは正式な呼び名ではありません。掛け紙というもので、のしは別の部分を指します。一般的にのし紙で通じるようになってきていますので問題はありません。
のしって何のこと?
のしとは、祝儀袋の右上にある何かを紙で包まれたような絵の部分です。もともと『熨寸(のし)アワビ』の略です。
古くから高価な生アワビをお祝いに添えていたのですが、乾燥して伸ばすようになりました。それがどんどん簡略化され、黄色い紙を包むこともあります。お祝いですから、弔事には使いません。
慶事の掛け紙には品物のサイズによって位置が変わるのですが、あらかじめ結び目の右上に印刷されています。魚類、肉類(ハムなど)の場合はアワビと同じ『生臭もの』ですから『熨寸』はつけないのが正式です。
掛け紙の他に『短冊』というものもあります。紙をかけず包装紙の上を紐で結んだ後、右端にはさみます。
掛け紙より簡易な場合とされていますが、名前などを書き入れるため、無地のし(表書きのない掛け紙)の方が簡易だと言う方もいます。本来は掛け紙の代用なのですね。
短冊は出産内祝や、入学内祝で使用されることも多くあります。この場合は子どもの名前を書いた短冊を、慶事の無地のしと品物の間にはさみます。(折れたり傷がついてはいけないので包装の中に入れることを希望される方もいます)
出産内祝いでは特に、子どもの名前を知らせる代わりに使用する方もいます。最近のお子さんの名前は漢字が難しいことが多く、フリガナをつける場合もあります。
弔事にて法事の引き出物に、灰色で戒名などを印刷された白い無地の短冊が使用されることもあります。(紙に決まりがあるため、葬儀社や印刷所に頼まれることが多いです)
封筒形ではなく、紙で包むタイプの祝儀袋もありますが、この場合後ろの重ねが違います。最初の包装と同じですが、重なった上の紙が、慶事は上向き・弔事は下向きという形になります。
『幸せはためて』『悲しみは流す』です、覚えておきましょう。不祝儀袋で蝶結びはお布施の場合です。不祝儀は重なることを避けるために、お線香も1本だけあげます。2本はマナー違反ですよ。
包装紙の方向と、水引の種類を覚えておけば安心です。それぞれに意味がありますから、間違わないようにしたいものですね。